心の詩❣高村光太郎「あなたはだんだんきれいになる」❣❣

高村光太郎の『智恵子抄』に「あなたはだんだんきれいになる」という詩がある。 

その詩に出会ったのは、まだ私が二十歳前後の頃だったと思う。衝撃を受けた❣ 

 

をんなが付属品をだんだん棄てると 

どうしてこんなにきれいになるのか。 

年で洗はれたあなたのからだは  

無辺際を飛ぶ天の金属。 

見えも外聞もてんで歯のたたない 

中身ばかりの清冽な生きものが 

生きて動いてさつさつと意欲する。 

をんながをんなを取りもどすのは 

かうした世紀の修行によるのか。 

あなたが黙つて立つてゐると 

まことに神の造りしものだ。 

時時内心おどろくほど 

あなたはだんだんきれいになる。 

 

昭和2年に書かれた詩だ。この詩に出会ってから、私のなかの❝きれい❞は、付属品を棄てた、生きて動いてさつさつと意欲するひとになった気がする(笑笑) 

私が高村光太郎に最初に出会ったのは、小学校の高学年のころだ。9歳はなれた兄から『智恵子抄』の「あどけない話」を教えてもらって、なぜか気に入って一生懸命おぼえた(笑)たぶん兄は「道程」のような有名な詩も教えてくれたと思うが(汗) 

大きくなるにつれて沢山の光太郎の詩に触れたが、やっぱり一番好きなのは、この「あなたはだんだんきれいになる」だ(笑) 

年を重ねるほどに、人として豊かな心で、自分も他人(ひと)も共に幸せに平和に暮らせるように、生き生きと前向きに生命(いのち)を燃やしたい❣❣